FASCON日記

FASCON うんちく日記 vol.2 ●メタルアンカーとビットと耐力について

2009年01月15日

ビットをハンマードリルのチャックに取り付けるためのシャンク部分は、実は日本でのみ見受けられるものです。

「六角軸」は1タイプだけですが、国際標準のチャックに取り付けるものには、軸径の太さに応じて、「SDSプラス」「SDS-Max」の2タイプが日本に導入されています(ドイツではその中間サイズが規定されて3タイプあります)。いずれも元はドイツのボッシュ社の特許でしたが、今ではすでに期限切れになり、日本でも各社で作られています。

ビットの刃先部分については、さまざまな形のものが出回っていますが、大事な事は穴径のサイズを正確かつ丈夫に永く維持するための工夫です。同時に、アンカー施工の際の体力確保のために必要な真円をあけられるための工夫も欠かせません。

そういう点では、「SDSプラス」用の最新のものでは、ヒルティの「C3X」・ボッシュの「S4」・ミヤナガの「デルタゴン」が、最も工夫されたものだと言えます。これらのビットは、位置決めのし易さ・刃先の丈夫さ・真円に近い穴あけの点で、大変優れています。

また、ビットのスパイラル状の切粉の排出を促す部分では、「スパイラル」・「ヘリカル」・「ステップヘリカル」の名称で区別された溝の切り方があります。「ステップヘリカル」が最も切粉の排出が効率的だと言われています。

今回の本題であるメタルアンカーとその耐力については、真円に近い穴あけが出来るがどうかでビットの性能と密接に関係します。何故なら、メタルアンカーは、コンクリート壁との間での摩擦係数によって、その引き抜き耐力を維持しているからです。

日本で最も普及している「心棒打ち込み式」(通称オールアンカー)と、「内部コーン打ち込み式」(通称ヒルティアンカー)を思い浮かべてみてください。いずれも、打ち込み前の状態では、アンカーの太さは、上下どちらも同じですが、打ち込み後の状態では、穴底のアンカーの下部部分が心棒やコーンの打ち込みにより広がり、穴壁に密着するか又は食い込んでいます。

つまり、アンカー外部とコンクリートの穴壁の間で、その摩擦により耐力を維持する仕組みになっています。従って、アンカーが丸い筒状ですから、コンクリートに開いた穴のほうも真円の筒状であれば、平均してお互いに密着し、その接着面積は最大となり、耐力も最大となるというわけです。ということは、アンカーも確実に平均して必要量の拡張がなされる必要があり、それが可能な仕組みのアンカーが優れていることになります。

ただし、例に挙げた雄ネジの「心棒打ち込み式」アンカーは、日本でのみ普及しているもので、作業性は優れていますが、同時に欠点も多いものです。 

例えば、打ち込み作業の際に構造上の理由もあって、心棒が真っ直ぐスムーズに入っていかず、途中で折れ曲がりやすいことです。必要量の打ち込みがなされなければ、アンカーの拡張は確保されず、引き抜き耐力も確保されません。施工現場では、心棒が充分に打ち込まれていないものを多く見かけます。他方、利点は心棒を引き抜くことで、アンカーの撤去が行い易いことです。

又、雌ネジの「内部コーン打ち込み式」は、内部コーンの打ち込みが、確実に行えることで、より確実に施工できます。似たものに雌ネジの「外部コーン打ち込み式」があり、かなり一般的に多用されていますが、その引き抜き耐力の確保は、実はかなり困難です。なぜなら、充分なアンカーの拡張を確保するためには、外部コーンが確実に必要量アンカーに食い込んでいく必要がありますが、これが確認できないからです。

コンクリート母材は、グリや空洞部分がかなり多く発生します。従って、アンカー長と同じ深さに穿孔した穴の底部に空洞があった場合や、穴あけの深さが必要以上に深かった場合には、外からアンカーをコンクリート面まで打ち込んだとしても、外部コーンがアンカー本体に充分に食い込んでいかず、しかも施工後にその確認も出来ません。

選択する工法によっては、十分な注意が必要であることを忘れてはいけませんね。


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