FASCON日記
FASCON うんちく日記 vol.3 ●アンカーと母材
2009年02月05日
日本建築学会では、アンカーボルトの種類を以下のとおり分類しています。
■先付け工法
□頭付きアンカーボルト
□鉄筋アンカーボルト
□基礎ボルト
■後打ち工法
□メカニカルアンカーボルト
また、1984年に「日本コンクリートアンカー工業協会」として設立され、現在では国土交通省の外郭のひとつでもある「日本建築あと施工アンカー協会」では、「あと施工アンカー」に呼称を統一して分類し体系付けています。
詳しくは、こちらを参照ください。
ご覧頂いたように「あと施工アンカー」は次のとおり分類されています。
□金属系アンカー
□接着系アンカー
□その他のアンカー類
ところで、何故アンカーは固着するかご存知ですか?
アンカーは次の三つの原理により、母材に固着します。
「摩擦(フリクション)」
~引き抜き力は、アンカーと母材孔壁の摩擦により母材へ伝えられ、母材内部での拡張力となり保持します。
「くさび効果(支圧)」
~固着力は、母材の裏側で引抜力に対応する形で働きます。
「接着」
~接着力は合成樹脂モルタルの接着力により、ボルトと母材孔壁の間に生じます。
そして、
「三原理の組合せ」
~母材と取付物の状況によって、上記の三原理を組み合わせて活用することで、より一層安全性が高まります。
また、アンカーの選択は、以下の要素などで決まります。
(1)母材の特性
(2)取付物の形状
(3)重量・荷重(動荷重か静荷重か)と必要とする引抜耐力
(4)後日の撤去の必要性
(5)環境(屋内・屋外・塩害の有無・水中など)
今回は、(1)の母材の特性についてお話ししましょう。
まず、母材には以下の種類があります。
・コンクリート(現場打ち・プリキャースト=PC)
・気泡コンクリート(ALC)
・ブロック・レンガ など 他
「コンクリート(現場打ち=生コン)」
現場打ちコンクリートは、打設後、一週間程度でのアンカー打ちは不適切です。コンクリートは、日を追うごとに乾燥と共にやせてきますし、その圧縮強度も増してきます。
あと施工アンカーの場合、コンクリートの圧縮強度は、最低21N/mm2(210kgf/cm2)以上あることを前提としています。一般に、通常の現場打ちコンクリートは、打設後、約4週間で、所定の強度がある状態になると考えられています。
「年月の経過したコンクリート」
改修現場などでよく見られる20年位経過したコンクリートの場合は、その圧縮強度は、高くなっており40N/mm2以上あるのが通常です。
「プレキャストコンクリート(工場生産されたもの)」
工場出荷時点で、必要な乾燥時間を経過させているので、かなりの圧縮強度があります。その仕様にもよりますが、通常20から30N/mm2は期待できます。
最近の建築建設現場では、ドライ工法の採用により、PCコンクリートが多用されており、逆に生コンミキサー車をあまり見かけなくなってきています。それだけ、コンクリートの品質の均一化が進んでいるとも言えます。
メタルのあと施工アンカーは、コンクリートの孔壁との間での力学的な関係で、その引抜耐力を維持するように考えられているので、コンクリートの硬さ(圧縮強度)が大きくその性能に影響します。
「気泡コンクリート(ALC)」
ALCはAutoclaved Lightweight aerated Concrete(高温高圧蒸気養生した軽量気泡コンクリート)の頭文字を取った名前です。現在は、外壁のみならず、色んなところに利用されている建材です。耐火性・防火性・耐震性・耐熱性・断熱性・遮音性に優れ、且つ軽量なことが利点ですが、これを母材に何かを取り付ける場合には、母材そのものが柔らかいことや、アルカリ性であることを考慮した部材の選択や工法が必要となります。
「ブロック」
ブロックは、中空のコンクリート製品であり、その耐力は余り大きくないことを考慮した工法が必要です。
「レンガ」
レンガは通常、モルタルで接着して、壁などに利用されるので、レンガそのものの耐力に依存した部材の取付をするという概念は、成り立ちません。壁面や床面全体を考慮した工法が必要です。
次回は、これらの部材への「取付物の取付」について記します 。
■先付け工法
□頭付きアンカーボルト
□鉄筋アンカーボルト
□基礎ボルト
■後打ち工法
□メカニカルアンカーボルト
また、1984年に「日本コンクリートアンカー工業協会」として設立され、現在では国土交通省の外郭のひとつでもある「日本建築あと施工アンカー協会」では、「あと施工アンカー」に呼称を統一して分類し体系付けています。
詳しくは、こちらを参照ください。
ご覧頂いたように「あと施工アンカー」は次のとおり分類されています。
□金属系アンカー
□接着系アンカー
□その他のアンカー類
ところで、何故アンカーは固着するかご存知ですか?
アンカーは次の三つの原理により、母材に固着します。
「摩擦(フリクション)」
~引き抜き力は、アンカーと母材孔壁の摩擦により母材へ伝えられ、母材内部での拡張力となり保持します。
「くさび効果(支圧)」
~固着力は、母材の裏側で引抜力に対応する形で働きます。
「接着」
~接着力は合成樹脂モルタルの接着力により、ボルトと母材孔壁の間に生じます。
そして、
「三原理の組合せ」
~母材と取付物の状況によって、上記の三原理を組み合わせて活用することで、より一層安全性が高まります。
また、アンカーの選択は、以下の要素などで決まります。
(1)母材の特性
(2)取付物の形状
(3)重量・荷重(動荷重か静荷重か)と必要とする引抜耐力
(4)後日の撤去の必要性
(5)環境(屋内・屋外・塩害の有無・水中など)
今回は、(1)の母材の特性についてお話ししましょう。
まず、母材には以下の種類があります。
・コンクリート(現場打ち・プリキャースト=PC)
・気泡コンクリート(ALC)
・ブロック・レンガ など 他
「コンクリート(現場打ち=生コン)」
現場打ちコンクリートは、打設後、一週間程度でのアンカー打ちは不適切です。コンクリートは、日を追うごとに乾燥と共にやせてきますし、その圧縮強度も増してきます。
あと施工アンカーの場合、コンクリートの圧縮強度は、最低21N/mm2(210kgf/cm2)以上あることを前提としています。一般に、通常の現場打ちコンクリートは、打設後、約4週間で、所定の強度がある状態になると考えられています。
「年月の経過したコンクリート」
改修現場などでよく見られる20年位経過したコンクリートの場合は、その圧縮強度は、高くなっており40N/mm2以上あるのが通常です。
「プレキャストコンクリート(工場生産されたもの)」
工場出荷時点で、必要な乾燥時間を経過させているので、かなりの圧縮強度があります。その仕様にもよりますが、通常20から30N/mm2は期待できます。
最近の建築建設現場では、ドライ工法の採用により、PCコンクリートが多用されており、逆に生コンミキサー車をあまり見かけなくなってきています。それだけ、コンクリートの品質の均一化が進んでいるとも言えます。
メタルのあと施工アンカーは、コンクリートの孔壁との間での力学的な関係で、その引抜耐力を維持するように考えられているので、コンクリートの硬さ(圧縮強度)が大きくその性能に影響します。
「気泡コンクリート(ALC)」
ALCはAutoclaved Lightweight aerated Concrete(高温高圧蒸気養生した軽量気泡コンクリート)の頭文字を取った名前です。現在は、外壁のみならず、色んなところに利用されている建材です。耐火性・防火性・耐震性・耐熱性・断熱性・遮音性に優れ、且つ軽量なことが利点ですが、これを母材に何かを取り付ける場合には、母材そのものが柔らかいことや、アルカリ性であることを考慮した部材の選択や工法が必要となります。
「ブロック」
ブロックは、中空のコンクリート製品であり、その耐力は余り大きくないことを考慮した工法が必要です。
「レンガ」
レンガは通常、モルタルで接着して、壁などに利用されるので、レンガそのものの耐力に依存した部材の取付をするという概念は、成り立ちません。壁面や床面全体を考慮した工法が必要です。
次回は、これらの部材への「取付物の取付」について記します 。