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FASCON うんちく日記 vol.1 ●ハンマードリルビットと母材
2009年01月09日
コンクリートに穴あけをするためのビットは、振動ドリル全盛の時代には、「コンクリートビット」と称するものがありました。ドリルチャックに固定するシャンク部分が、ストレートの丸棒で、これをチャックで締め付ける形でした。

これは、木工作業の歴史から母材の表面を削るという考え方に基づいていますが、コンクリートの母材に穴をあけるには不適切でした。なぜなら、コンクリートに穴あけするには、削るのではなく、細かく叩いて砕くのが、最も効率的だからです。

その作業に適した工具として、エレクトロニューマティック機構(エヤーピストン)をもつハンマードリルの形式を、初めて開発したのがドイツの「ボッシュ」社です。それと相前後して、リヒテンシュタインの「ヒルティ」社が実用化し、製品を世に出したのが始まりです。

砕いたコンクリートの粉片(切り粉)をいかに効率的に穴の外に出せるかによって、穴あけのスピードが左右されます。ですから、各社ともハンマードリルのビットには、「超硬チップついた刃先」と、「スパイラル状に溝を切った部分」と、ドリルに確実に固定されながらスムーズに上下する「シャンク」部分に工夫を凝らしています。

そして、ビットシャンクの太さとハンマードリルの規格によって、「SDSプラス」「SDS-Max」が国際規格となっており、「六角軸」は今では日本市場でしか見られません。

超硬チップが容易に外れない蝋付けの技術と、スパイラル状のボディ部分が容易には痩せない鋼材が求められます。

現存する各社のビットのうち上質のものは、1000本以上の穴あけをしても、サイズ減りもボディの痩せもおきませんが、廉価なもの中には200本がやっとという製品もあります。

ところで、ボディのスパイラル状の部分に穴あけの目安として、ビニールテープを巻いている施工者をよく見かけますが、これでは切り粉を排出する道が塞がれてしまい、新たなコンクリート面を砕くことができなくなってしまいます。結果として著しくスピードダウンしてしまいますので、お勧めできません。

また、アンカー施工のために穴あけをする場合、アンカーの引き抜き耐力を確保するには、可能な限り真円の穴あけが必要です。そのためには、良質のビットを選ぶだけでなく、ハンマードリルのチャックのブレが最小になるよう、空回しでブレを目視で確認するなど、定期的な調整が望ましいです。

ちょっとしたことですが、効率よく作業するためにはこうした些細なことに注意したいですね。


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